ABA(応用行動分析学)とは?療育における考え方とやり方、ポイントまで解説

癇癪、こだわり、問題行動…
発達障害の有無にかかわらず、子どもの理解できない行動や、何度言い聞かせても直らない問題行動に日々悩まされているママも多いのではないでしょうか。
そんなとき、ABA(応用行動分析学)が役に立ちます。ABAとは、「行動には理由がある」という前提に立ち、子どもの望ましい行動を増やしていくアプローチ方法です。ABAを理解すると、子どもの行動の理由が分かり、問題行動に対する見方が変わるはずです。ママの不安やイライラも軽減されるでしょう。
今回は、ABAの基本から3つのステップ、うまくいくコツまで、事例をまじえて分かりやすく解説いたします。ご家庭ですぐに実践できるので、ぜひ試してみてください!
ABA(応用行動分析学)とは
まず、ABAの基本的な考え方から見ていきましょう。
ABAの考え方
ABA(Applied Behavior Analysis)とは、アメリカの心理学者スキナーが提唱した「行動主義」の理論に基づいた考え方で、日本語では「応用行動分析学」と呼ばれています。
ABA(応用行動分析学 以下ABA)では、人間の行動には“法則性”がある と考えます。
たとえば
- 褒められたら同じ行動を繰り返したくなる
- 嫌な思いをしたらその行動をしないようになる
といったように、行動は必ず “きっかけ・行動・結果” のセットで起こるのです。
このようにABAは、「行動には必ず理由がある」という前提に立ち、その理由を理解したうえで、望ましい行動を増やし困りごとにつながる行動を減らしていくための科学的なアプローチです。
ABAは、医療・教育・スポーツ・ビジネスなど幅広い分野で活用されています。もちろん発達支援や子育てにおいても非常に重要な考え方で、療育プログラムの1つとして実践されています。
療育におけるABAの目的
ABAは子どもの望ましい行動を増やし問題行動を減らすためのアプローチですが、その最大の目的は、子どもの生きやすさをサポートすることです。つい、大人の都合で子どもを思い通りに動かしたくなりがちですが、子どもの困り感を解消し、生活の質を向上させるための支援であることを忘れてはいけません。
そのため、子どもの問題行動が見られた際は、「困っているのは誰か」「どんな場面でどのように困っているか」をよく観察する必要があります。
ABAが上手くいくと、結果的に支援者や親の指示が通りやすくなったり、子どもとコミュニケーションが取りやすくなるというメリットが生まれます。しかしあくまでも、子どもの幸せを第一に考えることが大切です。
ABAの2つアプローチ方法
ABAには大きく分けて「強化」と「弱化」という2つのアプローチ方法があります。
療育では主に「正の強化」を活用します。“本人にとって「良いこと」を行動の直後に置いて、望ましい行動を増やす”という考え方を押さえておきましょう。
強化
「強化」とは、ある行動の直後に本人にとって良いことが起こることで、将来的にその行動が起こりやすくなる現象のことです。ABAでは、行動が起こるきっかけになる「良いこと」を「強化子」といいます。
「強化」の種類
「正の強化」:片づけをするとシールがもらえる
「負の強化」:片づけをすると嫌なことが免除される
「強化子」はその子によって違います。また、一見すると「嫌なこと」に思われるものも「強化子」になりえます。例えば、大人に怒られることが「注目される」「構ってもらえる」と感じて強化子になる場合もあります。
本人にとってメリットがあるかどうかが基準になるため、日頃からその子が何を望んでいるのかをよく観察することが大切です。
弱化
「弱化」とは、ある行動の直後に本人にとって「嫌なこと(罰)」が起こる、または「良いこと(強化子)」が取り除かれることによって、将来的にその行動が起きにくくなるという現象のことです。
「弱化」の種類
「正の弱化」:片づけをしないと叱られる
「負の弱化」:片づけをしないとおやつが減る
ただし療育において、弱化や罰は基本的に使いません。罰は一時的に行動を止めても、大人が見ていない時に悪化する、別の問題行動につながるなどの弊害があるからです。
ABAのやり方|3つのステップ
ABAの3ステップを解説します。まずは子どもの行動をよく観察するところから始めてみましょう。
ステップ1|行動を分析する(ABC分析)
ABAの1つ目のステップは、子どもの行動をよく観察し分析することです。着目すべきポイントは、行動のきっかけ(Antecedent)・行動(Behavior)・結果(Consequence)の3つです。この分析のことを、それぞれの頭文字をとって「ABC分析」と呼んでいます。
行動の前後を観察することで、子どもがその行動をとる「理由」が分かります。子どもの行動の理由が分かるだけでイライラや不安が減ることも多いので、日頃から子どもの行動をよく観察してみることをおすすめします。
子どもの行動の理由(強化子)4種類
- 要求の実現(◯◯したい・◯◯してほしい)
- 回避・逃避(◯◯したくない)
- 注目を得たい
- 自動強化(感覚刺激、手をひらひらさせたり・ぐるぐるまわるなど)
自動強化の場合、困った行動が生み出す刺激自体が「快」を生み出して、困った行動を繰り返す循環に陥っている場合があります。
ステップ2|望ましい行動を増やす(強化する)
子どもの行動の理由が分かったら、子どもにとって「メリットがある結果」を用意し、 子ども自身が「やりたい」と思える状況を作りましょう。
強化の例
- 片付けをしない→片付けができたらシールをあげる
- 横入りしてしまう→順番を待てたらあそびの時間を延長する
- おもちゃを横取りしてしまう→“貸して”が言えたらハグして一緒に遊ぶ
強化子はその子によって異なります。シールがもらえることを喜ぶ子どももいれば、好きな活動ができることを喜ぶ子どももいます。そしてなにより、特別なものや体験でなくても、大好きなママからの褒め言葉やスキンシップが子どもにとって最大の強化子であることを忘れないでください!
ステップ3|望まない行動を減らす(消去する)
ABAにおいて、望まない行動を減らすことを「消去」と言います。望まない行動が起きても、その行動で「子どもが得たい結果」を与えないようにする方法です。
消去の例
- スーパーでお菓子を欲しがり癇癪を起す→癇癪を起してもお菓子は買わない
- 食事中立ち歩く→立ち歩きを始めても注目しない
消去で大切なのが「その行動をしても意味がない=メリットがない」と子どもが気づくようにすることです。また、メリットのないこと=デメリットではありません。「叱る」などの精神的苦痛をともなうデメリットではなく、本人にとって望む結果が得られないようにするという仕方でアプローチしましょう。
消去を行っている途中で、一時的に問題行動が増える「消去バースト」が起こることがありますが、ここで折れずに一貫性を保つことが重要です。「消去バースト」に押されて、望む結果を与えてしまうと、かえってその行動が強化されてしまうからです。消去バーストが起きるのは消去がまもなく完了するサインですので、冷静に見守りましょう。
また、消去は単独で行わず、必ず「強化」とセットで使うようにしましょう。
ABAを行うときの4つのポイント
ここでは、ABAを効果的に行うためのポイントとコツをまとめました。
ポイント1|エラーレストレーニング
エラーレストレーニングとは、望まない行動が起きないような環境づくりのことです。環境を変えることで、本人に直接アプローチするより比較的早くラクに問題行動を減らせます。また、子どもが失敗する機会が減り良い行動を起こしやすくなるので、子どもが自信を持ちやすくなるというメリットもあります。
エラーレストレーニングの例
- テレビがやめられない → テレビのない部屋で遊ぶ、外遊びに変える
- 片付けが難しい → 箱に入れればOKにする、おもちゃの数を減らす
- お友達トラブル →グループを分ける
ポイント2|丁寧なプロンプト
ABAにおいて「プロンプト」とは、説明やサポートのことです。強化の成功の鍵は、どれだけ成功体験をつめるかがです。大人が言葉やイラストで丁寧に説明し、正しい行動の見本を見せ、一緒にやってみましょう。
望ましい行動が自発的にできるようになることよりも、丁寧なサポートで成功体験を増やすことが最優先です。
ポイント3|スモールステップ
最初から大きな目標を掲げるのではなく、スモールステップで段階的に目標に近づけていくことも大切です。小さな「できた!」を積み上げることが子どもの自信になり、将来的に大きな成長につながります。
ポイント4|できている行動を褒める
叱るよりも褒めるほうが何倍も効果的です。どんなに小さな成功でも、できた瞬間を見逃さずに褒めるようにしましょう。
まとめ

ABAとは、子どもの行動の理由に注目し、望ましい行動を増やし問題行動を減らしていくための科学的なアプローチです。ABAは「子どもをコントロールするための方法」ではありません。
子どもの生きやすさを第一に考えて、子どもの行動を観察するところから始めてみてください。子どもの行動が理解できると、関わりがぐっとラクになり、子どもの成長も見えやすくなるでしょう。
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